「歯周病は年配の方がかかる病気」と思われがちですが、実は10代や20代の方でも発症する病気です。初期の段階では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行します。
歯茎の腫れや歯みがき時の歯茎からの出血、強い口臭は歯周病のサイン。気になる症状がありましたら、できるだけ早く鹿児島市武岡の歯医者「医療法人 小森歯科クリニック」で治療を始めましょう。
高齢になって歯が抜けるのを「老化現象」だと思っていませんか?
実は日本の成人が歯を失う原因の第1位は歯周病です(第2位は虫歯)。年齢を重ねると、口腔内環境が変化しやすくなり、歯周病や虫歯のリスクが高まり、歯を失いやすくなります。
健康な歯は歯茎や顎の骨でしっかり支えられており、歯と歯茎の間にある溝(歯周ポケット)は健康な状態なら2mm程度です。
しかし、歯みがきなどデンタルケアが不十分で汚れを落としきれないと、細菌の巣窟であるプラーク(歯垢)や歯石がたまっていきます。歯周病菌がお口の中で活発化すると歯茎が炎症を起こし、歯と歯茎の溝(歯周ポケット)が深くなっていきます。
歯周病が進行するにつれ、歯を支える顎の骨などの歯周組織をどんどん溶かしていき、ついには歯を支えられなくなり、やがて歯が抜け落ちてしまうのです。
歯周病がおびやかすのはお口の中の健康だけではありません。さまざまな全身疾患との関連性が報告されています。
そのひとつが糖尿病です。糖尿病と歯周病は、お互いの病気の悪化を誘発する可能性があります。歯周病菌などの細菌が血管に入り込むと、血小板が異常を起こして固まりやすくなるので、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まってしまうのです。
また、唾液に含まれる歯周病菌が気管から肺に入り込むと、気管支炎や肺炎を引き起こすことがあります。とくに飲み込むことが困難な高齢の方は誤嚥(ごえん)性肺炎への注意が必要です。
ほかにも妊婦さんの場合は、身体の変化やホルモンバランスの変化にともない、お口の中の環境が悪化し歯周病にかかりやすくなります。歯周病菌は子宮の筋肉に影響を与えることがあるので、早産や低体重児出産を引き起こす可能性があります。歯周病にかかっている妊婦さんは、そうでない方にくらべ7倍のリスクがあるといわれているほどです。
歯周病の検査でまず行うのが、歯周ポケットの深さを測定し、進行度合いをチェックすることです。その後、お口全体の診査・検査を踏まえて歯周病の基本治療を行い、しばらく時間をおいたのち、ふたたび検査を行います。歯周組織の改善が見られ、歯周ポケットが2~3mm程度に回復していればメンテナンスに進みます。改善が見られない場合に行うのが「外科治療」です。重度の歯周病には「歯周組織の再生療法」を行います。
当院ではEr.YAGレーザーを導入しており、歯周病治療でも活用しています。レーザー治療器を使った治療には、殺菌効果や歯茎の炎症改善、出血抑制などの効果が期待できます。また、レーザー光を使って歯周病菌を「光殺菌」することも可能です。
※表は左右にスクロールして確認することができます。
ポケット診査 | 歯の動揺度の検査 | レントゲン検査 |
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歯周ポケットの深さを計測します。歯周ポケット検査は1歯につき6ヶ所測定します。プロービングを行うと炎症のある歯肉からは出血します。 | 動揺度が0~2以上であれば、重度歯周病と診断されます。動揺度3だと、抜歯となる可能性が高くなります。動揺度3のレベルで歯のぐらつきの程度を測ります。 | 歯周病の進行度は、歯肉を見ただけでは判断できないので、レントゲン写真で歯槽骨の状態を確認します。 |
歯周病治療は、歯石やプラークなど歯に付着する歯周病菌の巣を徹底的に除去することにあります。歯周病の進行度合いによって、歯周病菌の巣の場所が異なるため、それに応じた器具や方法でしっかりと除去します。
歯肉炎とも呼ばれる軽度歯周病の状態では、歯みがき時に炎症を起こしている歯茎から出血が見られます。歯周ポケットはまだ浅いため、歯石の付着も肉眼で見える範囲です。スケーリング(歯石とり)には、超音波スケーラーを用いて効率よく除去していきます。
この段階になると、歯を支える顎の骨が溶かされており、歯周ポケットも深くなっています。こうなると歯茎で覆われているはずの歯周ポケット内部の歯質に歯石が付着しているため、深い部分まで器具を使って歯石を取り除くことになります。痛みが出る恐れがある場合は、麻酔を使用します。スケーリングに加えて、歯石を除去した後のザラザラしている歯の表面をルートプレーニングという処置で滑らかに仕上げ、汚れが再付着しないようにします。
重症化した歯周病では歯周ポケットがかなり深くなっており、肉眼で確認しながら手探りでの歯石除去に限界が生じます。歯周外科手術では、麻酔を施したのち歯茎を切開し、歯の根元を露出させ、そこに付着した歯石や汚染されている歯肉などを徹底的に除去していきます。顎の骨の溶かされ方が大きい場合は、骨を再生させる再生療法などを行うこともあります。
光殺菌と訳されるLAD治療は、歯周病などの感染部位に光感受性物質(バイオジェル)を注入し、光を照射することで大量の活性酸素を発生させ、病原菌(この場合は歯周病菌)を消毒・除菌する方法です。
痛みがなく、抗生物質などを使用しないため耐性菌が発生しません。副作用もないのでくり返し治療を行うことができます。これまでの治療では除去しきれない細菌に「とどめの一撃」を与えることができるので、治療期間の短縮や感染の再発防止に役立ちます。
お口の汚れプラークは細菌の巣です。虫歯の原因菌だけでなく歯周病菌も潜んでいます。このプラークや歯石を除去することは、歯周病だけでなく虫歯の治療や予防にも欠かせない処置です。
歯周病は歯周病菌による感染症なので、子どもにも感染します。子どもの場合、重度の歯周病にまで進行することはほとんどありませんが、免疫力が弱い場合、歯茎の腫れなどを引き起こすことがあります。
インプラント治療では顎の骨に人工歯根(インプラント)を埋め込むので、十分な骨の厚みと幅、密度が必要です。歯周病にかかっていると顎の骨が破壊されるのでインプラント治療はできません。
審美歯科は、歯の機能と自然な見た目を回復するための処置です。せっかく美しい人工歯を装着しても歯周病にかかってしまうと、健康に歯を維持できなくなります。審美歯科を受ける前後には、歯周病治療や予防を徹底することが大切です。
歯並びや咬み合わせが悪いと歯みがきがしにくいことから、お口の中に汚れがたまりやすくなったり、咬み合ったときに強く力が加わる歯にストレスが生じたりすることから、歯周病を発症しやすくなります。矯正治療で口腔内環境を整えることは、歯周病の治療や予防に役立ちます。